全日本印刷工業組合連合会
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全印工連から最新情報をお知らせしています。

「全印工連フォーラム2011」概要



 全印工連はIGAS2011開催期間中の9月16日、東京ビッグサイトにおいて「全印工連フォーラム2011」を開催し、510人の参加者を集めました。第1部では業態変革推進企画室が7年目を迎えた業態変革の集大成として「業態変革実践プラン総集編―全印工連2012計画」を発表。印刷産業ビジョン研究会は「印刷関連産業と考えるこれからの印刷産業」をテーマに、各分科会から「印刷物の減少を抑える対応」「印刷物を伸ばす対応」「ソリューション展開への対応」について発表しました。また、第2部では海外研究セミナーとして米国印刷会社WILEN社社長のダリン・ウィレン氏を迎え、同社の成長戦略について講演が行われました。

○水上会長挨拶 

 「全印工連は全国大会を2年に1回行っており、昨年は岐阜で開催し、来年は北海道で開催する。今回の全印工連フォーラムは、隔年開催の全国大会の間に勉強する機会として開催させていだたいた。今、印刷業界の経営環境は大変厳しい状況に置かれている。従来のビジネスモデルが通用しなくなってきた。そのような中で新しいビジネスモデル、新しい価値観を私たちは探さなくてはならない。しかし、現実にはそれを探すのに、明確な方向性はなく、混沌としている状況である。
 では、どうすればよいか。私は新しい価値観とは“創造”にあると常々申し上げている。創造とはクリエイティブで柔軟な思考と行動のこと。今までのビジネスは過去をベースに考えれば新たなモデルをつくることができた。しかし、これからは現在をベースに未来を考えなければ新しいビジネスモデルをつくることはできない。本日は長丁場の講演会となる が、その中で何かきっかけをつかんでいただき、ビジネスに活かしていただきたい」





<第1部>

業態変革推進企画室 萩原誠委員長
「業態変革実践プラン総集編・全印工連2012計画―変革はエンドレス―」

 業態変革推進企画室の活動は今年で最終年度を迎え、その総集編としてこのたび業態変革実践のためのアクションプランを策定した。テーマは「業態変革実践プラン総集編・全印工連2012計画―変革はエンドレス―」。業態変革を実践・実行し、定着・継続することを目指した。
 刊行したマニュアルは、過去のツールや提言のエッセンスを盛り込んだ。さらに自社の現状や顧客、市場を分析しアクションプラン作成までを支援する。冊子の売上の一部は義援金として、組合の被災地の方へ送る予定となっている。
 目玉となる5章「業態変革を加速するためのアクションプランの策定」は実際に自社の現状や、顧客や市場を分析し実践プランを作成するためのツールとなっている。全印工連は2004年に策定した全印工連2008計画の中で、4つの潮流と3つの変化を取り上げた。当時は社会の環境変化が私たちのビジネスにじわじわと影響をおよぼし始めたころだったが、今では産業構造を見直さなければならないほど変化の波が押し寄せている。社会の環境変化とは「国際化」「高度情報化」「成熟化」「少子・高齢化」だ。この4つの潮流は「社会の主役」「競争相手」「スピード」の3つの変化をもたらし、印刷業界に業態変革を迫っている。
 社会環境の変化は印刷ビジネスに影響を与えている。印刷会社の競争相手はIT開発会社、ベンチャー企業など異業種も加わり始めている。社会が変われば価値観も変わる。印刷会社の役割も変わらざるを得ない。時代に適合した役割を考えなければならない。
メディア、市場、生産方式の変化は今後ますます加速すると予想される。2009年時点で印刷産業の規模は事業所数3万、出荷額6.3兆円となっている。昨年10月、全印工連産業戦略デザイン室は、産業成長戦略提言2010の中で2020年の出荷高を4.6兆円と予測している。業態変革に取り組まない印刷会社はますます厳しい状況に追い込まれるのではないだろうか。
 しかし、印刷業界はあらゆる産業に取引先を持ち、厳しい品質や納期に応え、ひとつのコンテンツを多様に展開できる高い技術、地域密着性し地元に愛される特性がある。全国の仲間を探せばあらゆるニーズに応えることができるネットワークがある。われわれは足元を見つめ直し、今何が必要なのか熟考し自信を取り戻す必要がある。
 業態変革に取り組むことは、顧客に自社を選んでもらうための必須条件である。新しい事業は経営者の夢で始まり、情熱で発展し、使命感で成功する。最後まで執念を燃やし、やり遂げる強い信念をもって全社員一丸となって取り組んでいただきたい。

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印刷産業ビジョン研究会 花崎博己委員長
「印刷関連産業と考えるこれからの印刷産業」

 印刷産業ビジョン研究会は、全印工連の印刷関連産業を含めた業界横断的な委員会である。委員は組合で唯一メーカー・ベンダーを中心に構成し、印刷機器メーカー、資材商社、印刷会社らが参加している。印刷産業だけでは対応できない事柄を印刷関連産業と知恵を出し合うことで業界発展に結びつけることが目的だ。当会では印刷物の需要変化への対応として@「印刷物の減少を抑える対応」A「印刷物を伸ばす対応」B「ソリューション展開への対応」――の3つのテーマを策定し、それぞれ分科会によって協議を進めてきた。
 これまで協議した内容について報告書の発刊を来年初頭に予定している。

@「印刷物の減少を抑える対応」
水野秀也副委員長/ハイデルベルグ・ジャパン且謦役

 みなさんは1日に新聞を何分ほど読まれるだろうか。CO2削減の観点から、30分以内ならiPadで、30分以上なら今までどおり新聞を広げて読んでいただきたい。スタンフォード大学医学部の学生に昨年iPadが配布され紙の資料がなくなった。だが、抗議を受け、再び紙による配布が行われるようになった。私たちははびこる情報によって一方的に紙メディアに負い目をおっているのではないだろうか。iPadのリサイクルについて考えてみて欲しい。電子機器の廃棄物は世界中で大きな問題となっているのだ。
 それに比べ、われわれの印刷物をはじめとする紙媒体は森を作っていると考えられる。紙はおもに再生エネルギーで作られており、リサイクルして使用している。森を育成してCO2を削減するには、適切に木を切ることが必要であるということを、一般の人だけではなく、印刷に携わるわれわれはどれほど認識しているだろうか。
印刷物が世の中からなくなると仮定しよう。普段立ち寄るコンビニから印刷物がなくなれば、ひどく殺風景なものになる。スマートフォンなどIT技術を駆使すれば、データのやり取りで商品が何かはわかる。でも、それは人間にとって楽しさを感じることができる豊かな環境といえるのだろうか。
 では、私たち印刷関連業界が今すべきことは何か? まず、業界が1つとなってペーパーメディアの良さについて声をあげ、印刷業に関わる人が自信を持たなければならない。そして、子供たちに印刷の素晴らしさを伝え、シニアにもその重要性を理解してもらわなければならないだろう。

A「印刷物を伸ばす対応―デジタル印刷の可能性―」
栗原博副委員長/富士ゼロックス且謦役

 技術の変化のスピードはすさまじく、2009年にはSNS利用者はメール利用者数を越えてしまった。また、今後はネットアクセス端末にはスマートフォンやタブレットが圧倒的多数を占めると予測されている。ネット検索エンジンを利用する時間よりもソーシャルネットワークに費やす時間も長くなっている。
 そして、自社組織内を中心に利用するグループウェアから、顧客を中心にモバイルを活用しながら利用するクラウドプラットフォームが主流になることが予想される。
では印刷業界はどのように変化しているのか。受注方営業から提案型営業へ、製造業からソリューションプロバイダーへ、マスマーケティングからone to oneマーケティングへと、さまざまに変化していった。世界的にみて、印刷市場の成長は横ばいと見られるが、デジタル印刷は成長が予測されている。とくにDMなどマーケティングコミュニケーションツールはさらにデジタル化が加速する。
 今、市場では顧客データベースやバリアブル技術の融合などで新たなマーケティングコミュニケーションが始まっている。小売業を例にとってみれば、印刷会社からの提案により、DMだけに頼るのではなく、メール、電話などさまざまな手段を使い、顧客データをもとに購買心理に合わせた販促ツールによって販売実績を向上させたという事例もある。
 これだけの変革を印刷会社が行っていること広く顧客にアピールすべきだろう。あくまでも提案だが「OneStopSolutionフェア」「業種別ソリューション事例フェア」といった印刷業界主体のフェアを開催し、さまざまな業種の顧客に集ってもらい、それぞれの印刷会社が増力化と省力化を顧客に訴求することも、必要になるのではないだろうか。

B「ソリューション展開への対応」
雨森章副委員長/潟<fィアテクノロジージャパン取締役会長

 雨森副委員長は「印刷会社が生き残るためには、紙を印刷するだけでなくさまざまなソリューションを提案していく必要がある」と分科会のテーマについて述べ、撮影機材i-studioを利用した動画によって事例紹介を行った。動画では錦明印刷梶E塚田司郎氏代表取締役社長から同社のフォトブックサービス「いつもいっしょ」が紹介され、続いて、叶^興社・福田真太郎代表取締役社長が、同社が電子ブック書店をスタートさせたいきさつについて語った。
 動画による事例紹介の後、西川コミュニケーションズ梶E西川誠也取締役副社長が登壇し、注目されるAR(Augmented Reality、拡張現実)について実際に会場に貼った全工連フォーラムポスターとiPadを駆使した実例を交えながら次のように語った。

               
 紙メディアで伝えきれないものを動画で説明したり、アンケートの集計や、通販サイトでの予約、割引クーポン発行など、ウェブを利用することでさまざまなソリューション展開ができるが、そこに誘導するためには印刷物が必要だと私は考えている。
 紙とモバイル、紙とウェブにより紙とIT技術が対立するのではなく、私たちが培ってきた印刷技術を活かし、新しい分野に進出することによって次の世代の市場が構築するのではないか。
 われわれの先輩達は、オフセットの登場で活版をすべて捨てた。私たちは捨てるのではなく、今の印刷技術を育みながら、新しいメディアに進出し、市場を開拓するべきだ。


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<第2部>
WILEN社 ダリン・ウィレン社長
「米国印刷会社WILEN社の成長戦略とその実態」

 WILEN社は米国ケーブルテレビネットワーク放送局HBO(Home Box Office)のプログラムガイドの作成からDMマーケティングに取り組み、今日にいたる成長を遂げた。当社が行った業態変革に、2007年のインラインで可変印字が可能な印刷機の導入を行ったことがあげられる。これがわが社の将来を決めたといってよいだろう。
 なぜ業態変革しなければならないのか。顧客に恵まれたわれわれが変革しなければ、必ず他の誰かが新しいサービスを提供するだろう。今こそ効率を上げて、顧客のニーズに応えるべきだと考え変革に取り組んだ。
 われわれは顧客の投資対効果を確保するために印刷物を売るのではなく、マーケティング・ソリューションを売っている。わが社は顧客が望むことの1歩先を読んで、常に最新の技術を導入することを成長戦略として、データやパーソナライズ、カラーに注目した。とくにデータは事業を成功に結びつけるための鍵である。多くの企業はデータを持っているが、ほとんどどう使ってよいかわかっていないのが現状だ。顧客の持つデータを分析し、データ戦略を作成、計測可能なキャンペーンを企画する。測定は成功の鍵である。
 「マーケティング・サービス・プロバイダー」として生産的パートナーから、データを活用した戦略的パートナーとなる必要がある。それには、インクジェット式印字システムとデータの応用が不可欠だった。将来的にはエンタープライズレベルのフルカラー可変ウェブ印刷を可能にし、今後も成長を遂げる見込みだ。



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